大型トラックの車輪脱落事故は何故起きるか
原因は、ナットの緩みが90%
対策案
(1)定期的な増し締め。
(2)緩まないナット装着(ダブルナット)ナット溶接割リピン送入
ナットはなぜ緩むか
ナットの緩む原因は回転緩みと非回転緩みがあります。
回転緩みはタイヤやホイールが回転する緩みです。
非回転緩みはホイールやトラムの表面の錆又ナットの座面錆び等で微量の隙間が発生してナット締め付け時はトルク軸力が掛かつていますが時間経過により隙間が多くなり軸力が落ちカットが緩みます。またナットの溝摩耗等があります。
ナット緩みの最も重要な事がらは、トルクと軸力の関係です
トルクは回転運動、軸力は締める力です。
軸力はトルクの10%です。ナット座面50%ネジ部40%の摩擦で消耗します。
私は以前大型トラックでは600トルクで締め付けた時は100%がナットの力が締め付けられると思つていました。
弊社のテストにおきましてISO新品ナットと錆びたISOナットの軸力を測定しました。
600トルクで締め付けた時の軸力はISO新品ナット185。錆びたナットは120でした。
錆びたナットの軸力をトルク換算すれば303でした。規定トルクの50%の力で締め付けている為ナットが緩み脱落事故が多いです。特に降雪地域で脱落事故が多いのも錆びたナットでの原因が上げられます。
何故オーバートルクはいけないのか
ボルトはスプリングの様に伸び維みします、ボルトはナットを締め付けるとボルトが伸び縮じみする事によリホイールを締結します。
ボルトにはボルトの伸びる時に弾性域と塑性域が有ります、弾性域はボルトの復元力がありナットは締まります。
塑性域は復元力が無くナットが締まりません、弾性域と塑性域の限界点が降伏点です。
ボルトナットは締めすぎるとオーバートルクになり、締める力が弱いと軸力が落ち脱落事故がおきます。
大型トラックのナットはタイヤ交換やローテーションでの取り付け取外しが多く雨や雪除雪剤によりナットが錆びる悪条件で過酷な状態で使用される為、脱落事故がおおいです。
大型トラックホイールの取り付け注意事項
(1)ハブからホイールを外すときにホイールが固着している時は要注意。
ホイール装着時にホイールが傾き既定トルクで締めても緩み脱落事故になります
対策➡ホイールの内側面の清掃
ハブとホイールのはめ合い部(インロー部)の隙間が小さい為、冬季の融雪剤や塩分などの影響で、
隙間が錆付き固着します
(2)ナット、ボルトの清掃
(3)ホイールボルトとナット座金(ワッシャー)とナットの隙間に潤滑剤を薄く塗布
(4)ホイール取り付け時ホイールセッテイングガイトを使用してボルトのセンタを合わせる
(5)規定トルクでナットをしめつける。
上記の取り付け作業を行う事で脱落事故は防止できますが完璧では在りません、
定期的な増し締めが必要です
弊社の脱落防止ナットはJISナットとISOナットの良い点を組み合わせた製品です
ダブルナットで下部ナットがJISナットのように上部ナットに食い込み、下部ナット上部は偏心加工されているため、緩みにくい構造です。脱落事故の防止になります。